この旗を越えてゆけ
Over The Flag
2014
日本国旗、ポスカ
1050×720×1200
戦後70年の節目を迎えた日本。
二度と戦争はしないはずのこの国だが、ここ数年、国民の意見を問うことのない憲法第9条の解釈変更や集団的自衛権の行使容認などに見られるように、じりじりと再び「戦争」に向かうような怪しい雰囲気が漂っている。
そんな雰囲気を察し心配しつつも余計なことには関わろうとしない、事なかれ主義な日本人の一面が最近特に目立つ気もしている。
「空気読め」という暗黙の圧力が蔓延し、言いたいことをますます言いづらい社会の雰囲気になってしまったせいなのか。戦時中の情報統制のような危うさを感じずにはいられない。
戦後生まれの私たちは幼い頃から戦争の悲惨さを見聞きしてきた。しかし、ほとんど誰もがそれをどこか遠い存在に感じているのではないだろうか。実際に私自身も戦争に気を留めながら日常生活を送ることは少ない。だがこれでいいわけがないと、作家として引っかかりを感じる自分もいる。今作は戦争に対する私なりの意思を表現したいと思った。
日本国国旗をモチーフに、誰もが見慣れた白地に赤丸の国旗の赤丸部分をくり抜き、白一色の旗として展示する。これは、今日本を覆っている危うい雰囲気にNOを突きつけ、今後も戦意を持たない、何ものにも帰属しない日本でありつづけてほしいという願いを表す。私は戦争には加担したくないという明確な意思表示であり、観客への問いかけでもある。
なお我が国では国旗の加工に関する法律は今のところないが、一般的には加工するものではないという認識が存在するようである。
しかし敢えてそのタブーに挑み表現することで、観客一人一人が戦争について改めて考えるきっかけとなってほしい。
この戦後の節目の年に、日本の人々へ作品を通して問いを投げかけたい。
「反戦 来るべき戦争に抗うために」展
2014. 9/25 - 9/29
SNOW Contemporary
東京都世田谷区弦巻2-30-20 1F